あなたのトレーニング方法は科学的根拠に基づいているだろうか? パート1/2

クライアントやアスリートのトレーニングに用いているあなたのトレーニング方法は、科学的根拠に基づいているだろうか?

新しいトレーニング方法や技術を評価する際、特定の公式を使っているだろうか?おそらくほとんどの人はそうではないことを認めるだろう。

 

 

しかしながら最近発行された総説は、医療分野において機能する(もしくはむしろ機能するようにデザインされている)という観点に基づき、科学的根拠に基づいたトレーニングへの正式なアプローチを推奨し、解説している。

しかもそれを実践することはさほど複雑ではない。

 

 

それでは総説の詳細を見てみよう。

 

「科学的根拠」という言葉の由来は何か?

イングリッシュ及びその他は、「科学的根拠」という言葉はもともと1990年代初期に、医療上の判断の50%以下しか科学的根拠によって支持されていない、という批判に応え、医療従事者が行動した際に医療分野から生まれた言葉であると解説している。

 

 

「科学的根拠」という言葉は実際には何を意味するか?

研究者たちは医療分野においてその言葉は「科学的根拠、専門的根拠、そして患者の結果を向上させるための患者の嗜好の行使根拠に基づいた体系的な取り組み」と言及されていると解説している。

 

しかしながら彼らは、この言葉は、ストレングス&コンディショニングの分野においては「同業者による論文審査の対象となる最新の研究論文からの根拠や専門的な根拠に基づいた、アスリートやクライアントに対する体系的な取り組み」という意味を含むべきであると提案している。

 

彼らは、やみくもに専門家を信頼をしてしまったり、古い情報やごく一部の入手可能な文献で思い込みをするというような罠にはまらぬような、注意深く熟考されたアプローチの重要性を強調している。

 

 

科学的根拠に基づいた取り組みとはどのようなものか?

科学的根拠に基づいた取り組みは下記の表に示されているような5段階の過程によって定義することが可能である。

・疑問の展開

・科学的根拠の発見

・科学的根拠の評価

・科学的根拠の実務への取り入れ

・科学的根拠の再評価

 

 

研究者たちが手掛けるように、順にこれらのステップの詳細を見ていってみよう。

 

 

ステップ1:疑問の展開

根拠に基づいたプロセスは疑問から始まる。

その疑問は時には「この特定のサプリメントは運動後の回復を促進するか?」のような簡単なものでありえる。

 

しかしながら科学的根拠に基づいたプロセスを正しく始め、最も有益な結果を得るためには、次の過程へ移る前にその疑問を更に発展させてゆく必要があると研究者たちは解説する。

疑問の中で網羅されていなければならないキーポイントは下記のものである。

 

 

  • 集団 – どのような種類の対象者を調査するのか?
  • 介入 – 具体的に何を行うのか?
  • 比較 – 何に対しての比較をするのか?
  • 結果 – 具体的に何を評価するのか?
  • 時間 – 評価期間どのくらいなのか?

 

 

例: まず、エクササイズの際の特定のサプリメントの効能に関する疑問から始めることができる。

これらのキーポイントを使ってこの疑問を次のようなものへと広げてみることができる。「若い男性アスリートにおいて、50 mgのこのサプリメントは単一の激しいエクササイズの次の日の筋肉痛をプラシーボよりも減少させるか?」

 

 

疑問をより明確にすることで疑問自体が多少刺激的ではなくなるが、最終的にはそれがより有益であることが証明されるであろう。

 

 

ステップ2:科学的根拠の発見

研究者たちは、一旦疑問が言葉で表現されれば、次はそれに関する情報を集める時だと解説している。

そしてもちろん、いかなるトピックに対してもストレングス&コンディショニングにおける科学的根拠の2つの主源は、専門家としての経験と公表された科学研究である。

 

 

専門家としての経験は言うまでもなく、アスリートやクライアントをトレーニングすること、論点を同僚と議論すること、そしてセミナーやカンファレンスから得ることができる。

科学的研究はグーグルスカラーやパブメッドのような研究施設を使用しているジャーナルを通じて、またこのような研究論文の総説サービスを通じて直接アクセスすることが可能である。

 

 

ステップ3:科学的根拠の評価

疑問に関する情報を得たところで、次はこれを評価する。

これが最も困難な段階である。

イングリッシュ及びその他は、入手可能な科学的根拠が相反している可能性があるため、評価は困難になり得ると解説している。

 

しかしながら、科学的根拠に基づいたアプローチでは、専門家が入手可能な科学的根拠を有効性に従いランク付けする必要があるため、この迷路の中にも通り抜ける道はある。

 

 

最も先入観が少なく客観的な形の科学的根拠は高いランクを与えられており(例えば、RCTつまり無作為化比較試験)、最も潜在的に客観的でない形(例えば、専門家の意見)は最も低いランクを与えられている。

ランクは(関連性の高い順に)下記のものである。

 

・データ量の多い無作為化比較試験

・少量もしくは限りあるデータ量の、あるいは目標とする人とは関係のない集団に関する無作為化比較試験

・非無作為化研究や観察研究

・経験や研究合成に基づく専門家の意見

 

 

科学的根拠のレベルによる違いは何か?

何故この方法で科学的根拠をランク付けすることができたのかを見る前に、我々が見てきた様々な種類の研究について、またそれらの相違点について思い返してみよう。

科学的方法を知り尽くしている場合は、次の見出しへ進むのが良いだろう。

 

 

無作為化比較試験とは何か?

無作為化比較試験とは、被験者が無作為に、そのうちの1つがコントロールグループである、2つもしくはそれ以上のグループに分けられる研究である。

コントロールグループは介入が行われないグループである。

プラセボ比較試験、盲検試験、もしくは二重盲検試験に対して参照がなされている場合、それはより厳密なバージョンの無作為化比較試験であることが多い。

 

 

プラセボ比較試験とは、介入をコントロールグループと比較するのみではなく、測定される変数に影響が全く無いか、もしくはごく僅かであると知られている偽の治療とも比較をしている研究のことである。

「盲検化」の技術は単に被験者の集団属性を研究者たちから(先入観を防ぐために)、もしくは被験者たち自身から(介入効果を最小化するために)隠すことである。

集団属性を研究者たちと被験者たちの両方から隠している研究が「二重盲検」試験である。

 

 

無作為化比較試験の代表例は何か? 

無作為化比較試験で用いられる2つの一般的な研究デザインは、並列デザイン(被験者は2つのグループに分けられ、そのうち1つのグループのみが介入を受ける)とクロスオーバーデザイン(被験者の両方のグループが異なった順番での介入を受ける)である。

 

 

非無作為化比較試験とは何か?

これらはほとんどの場合、観察研究や記述的研究であり、そこでは研究者たちが集団を選択し、これから起こる事やもう既に起こった事を知るために特定の要因を単に観察するものである。

 

 

非無作為化比較試験の例は何か? 

観察研究の2つの一般的な例は、コホート研究とケースコントロール(症例対照)研究である。

コホート研究では一定の集団が(将来的に何が起こるか待つことによって、もしくは過去に遡って起こったことを見ることにより)調査される。

 

 

ケースコントロール研究は、コホート研究が異なる特徴を持つ被験者のコントロールグループとの比較を行うこと以外、基本的にはコホート研究と同様である。

さらに、横断的研究もまた非無作為化比較デザインである。

これらの研究は全数調査の基本的な形を取っており、研究者が膨大なデータ間での相関関係を見いだすのを可能にする。

 

 

以上が様々な異なる研究調査の簡潔な概要である。

専門家の意見はこれらすべての中にどのような形で適合するのであろうか?

 

では実際の現場での具体的な評価はどのようなものなのか。

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